大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)755号 判決

主文

本件再上告を棄却する。

理由

鍛冶、池辺辯護人の上告趣旨はいずれも末尾添附別紙記載の通りであって、これに對する當裁判所の判斷は次の如くである。

両辯護人名義の上告趣旨について、

論旨においては憲法違反という字句を使用して居るけれども其内容は原審が詐欺罪に關する刑法の規定の解釋適用を誤ったということを主張する以外の何ものでもない、從って再上告適法の理由とならないと同時に小法廷において裁判を爲し得べきものである(尤も若原審が右刑法の法條を曲解して罪とならないものを罪としたならば、法律によらずして刑罰を課することになるかも知れない、しかし原審の解釋に誤は無いのみならず、かかる事項は一つに右刑法法條の解釋問題として決せられるべきもので其以外何等憲法問題を生ずるものではない、かかる主張は裁判所法第一〇條刑訴應急措置法第一七條規定の所謂違憲の主張に該當しないものと解すべきである、若し右の如き主張が総て右違憲の主張に當るものとすれば刑法第二編各條の誤解を主張する論旨は総て一應再上告適法の理由となり得べく、又総て大法廷で審理しなければならなくなるであろう、法律がかゝる趣旨でないことは多言を要しない)。(その他の判決理由は省略する。)

よって最高裁判所裁判事務處理規則第九條第四項、舊刑事訴訟法第四四六條により主文のとおり判決する。

以上は當小法廷裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例